膝の痛み

膝は大腿骨（太ももの骨）、脛骨（すねの骨）、膝蓋骨（膝のお皿）の3つの骨から形成されています。

歩く、しゃがむ、階段の昇り降りといった日常動作時に体重を支え、地面からの衝撃を吸収する役割を果たしています。

●変形性膝関節症

関節軟骨がすり減ることで、痛みや変形、動かしにくさなどを生じたものです。
年齢を重ねるごとに軟骨がすり減ってくるため、おもに加齢が原因に考えられています。

軟骨へのダメージは長年の負担の蓄積による影響が大きく、膝痛に悩む中高年の方が多い理由のひとつといえます。

ほかにも次のような要因があると、関節に負担がかかりやすくなります。

・筋肉の柔軟性の低下（股関節から足部まで）
・筋力の低下（大腿四頭筋）
・運動不足
・既往歴（関節リウマチ、半月板損傷、靭帯損傷など）
・骨格の遺伝

●ケガによる痛み

・スポーツ外傷（半月板損傷、靭帯損傷）

関節に強い外力が加わると、半月板や靭帯を痛めることがあります。
おもにスポーツ中の接触や転倒などが原因に挙げられます。

・スポーツ障害（ランナー膝、ジャンパー膝、オスグッドなど）

走る、ジャンプ、急激に止まるなどの運動をすると膝に力が加わり続け、靱帯や腱の組織が損傷したり炎症を起こし、膝の痛みが引き起こす場合があります。
これはスポーツ障害の一種「膝の慢性障害」で、スポーツによる「使いすぎ症候群」ともいわれています。

要因はいくつかあるとされています。

①身体要因
身体自体の発達具合に起因するものです。
筋力不足や筋肉のアンバランス、身体の柔軟性の不足などがあげられます。

②環境要因
合わない靴を使用していたり、地面が固すぎる、または柔らかすぎるなどさまざまな要因により膝に負担がかかることで発症します。

③トレーニング要因
過度な運動量、技量や体力に合わない運動など、自分に合わないトレーニングやスポーツを行うことに起因します。

●変形性膝関節症

初期は、動作開始時の軽い痛み、こわばりがあります。
中期は、歩行時の痛み、関節水腫の症状がみられます。
末期は、関節の変形、日常動作時の痛み、可動域の制限（伸び切らない、曲げ切れない）など生活に影響する症状が起こります。

●半月板損傷、側副靭帯損傷、十字靭帯損傷

・膝が伸び切らない、曲げ切れない、ひねる動きで痛む
・腫れや熱感、場合によっては出血
・関節の不安定性

●関節リウマチ

関節の痛みや腫れ、こわばりがおもな症状です。
炎症が悪化すると、関節が変形する場合もあります。

これらの他にも、さまざまな疾患により痛みを感じることがあります。

・鵞足炎（がそくえん）や滑液包炎：脛骨内側上部の痛み
・膝蓋靭帯炎：膝蓋骨の上部や下部の痛み
・タナ障害：お皿の内側の痛み
・膝蓋下脂肪体部や膝蓋大腿関節、大腿脛骨関節部の炎症：関節内の痛み
など

●変形性膝関節症

・冷やす（急性期）

炎症が強く、熱感がある場合は、氷水によって膝を冷却しましょう。
炎症を悪化させる可能性があるため、無理な運動は控えることをおすすめします。

・温める（慢性期）

症状が落ち着いている際は、膝を入浴やホットパックなどで温めましょう。
温めることで患部の血行が改善し、痛みやこわばりも緩和しやすくなります。

・ストレッチ

関節にかかる負担を軽減するため、太ももの筋肉をストレッチして柔軟性をつけましょう。
膝を曲げてかかとをお尻につけ、上半身をうしろに倒すストレッチがあります。

●ケガ

・RICE処置（急性期）

痛みや炎症を抑えるため、RICE処置（安静、冷却、圧迫、挙上）を素早く行いましょう。
大きな外力を受けて、半月板損傷や靭帯損傷が疑われる場合は、早めに医療機関や接骨院に行って精密な検査を受けてください。

重症のケースでは、手術が必要なこともあります。
軽いスポーツ障害の場合は、しばらく安静と冷却で様子をみます。
無理に運動をつづけて悪化させないことが大切です。

・温める、ストレッチ（慢性期）

急性期の腫れや痛みがおさまったあとには、今度は患部を温めて、血行を改善させましょう。
ストレッチによって、徐々に関節を動かしていきます。

●関節リウマチ

関節リウマチは治療が必要な病気です。
医療機関で適切な治療を受けましょう。

●太ももの筋力強化（スクワット）

膝にかかる負担を減らすためにも、スクワットで太ももの筋肉を鍛えましょう。
まず肩幅よりやや広めに足を広げて立ちます。

・膝とつま先の向きがずれないようにする（膝が内側に入らないようにする）
・膝がつま先より前に出ないようにする
・背中が丸まらないようにする

これらの3点に気をつけ、お尻を真下におろしていきましょう。
フォームが大切ですので、むずかしい場合にはイスの背もたれや手すりなどで身体を支えながら行いましょう。

●パテラセッティング

膝を伸ばした状態で床に座り、膝下に丸めたタオルを置きます。
そこから、膝裏でタオルを押しつぶすようにすると、太もも前の大腿四頭筋を鍛えられます。

10秒間3セットを目標に行いましょう。
とくに半月板や膝関節靭帯を痛めた方は、そのままにしておくと変形性膝関節症になる可能性があります。
リハビリとして、スクワットやパテラセッティングにて、関節周辺の筋力をつけておきましょう。

●ウォーキング

ウォーキングによって、膝関節に適度な負荷をかけましょう。
股関節から膝関節にかけての筋力・柔軟性の維持に効果的です。
股関節から動かすように、やや大股で歩くようにしましょう。

当院では、まず痛みがどこから来ているものなのか、何が痛みの原因になっているのかを明確にし、早期改善を目指します。

施術内容は患者様の状態によって変わってきますが、おもに膝周辺の負担がかかってしまっている筋肉を手技療法でゆるめていき、超音波療法や電気療法を行い関節の動きを滑らかにします。

患者様の生活状況や、ご要望に合わせてサポーターやテーピングなどで筋肉の補助を行う場合もあります。
痛みがある程度落ち着いてきたあとには、膝関節を支えている筋力を強化し再発防止に努めていきます。

O脚改善のための骨格矯正や、ご自宅でできるケアのアドバイスなどもさせていただきます。
日常生活での膝の痛みや違和感でお悩みでしたら当院までお越しください。